連載
2024年3月1日

これって更年期!?-症状や症状別おすすめのセルフケア-

1. 更年期とは

■更年期とは
年齢を重ねるにつれて、特にこれといった原因もないのに「何となく体調がすぐれない」「気分が不安定」などの症状が出るようになっていませんか?
もしかしたらそれは、更年期に伴う症状かもしれません。

女性における更年期は、閉経(生理が止まる)前後5年の10年間を指し、40~50代に多く見られます。
この期間は生殖器や健康維持に関係する女性ホルモン(エストロゲン)が大幅に減少するとともに、自律神経が乱れやすいため、身体面だけでなく精神面にもさまざまな症状が現れるようになります。
ただし一般的には、更年期が過ぎれば症状は次第に落ち着いていきます。

女性特有のものと思われがちな更年期は、同じく加齢による男性ホルモンの減少により男性にも訪れます。
しかし、男性の場合は女性よりも加齢によるホルモンの減少が緩やかで、発症や終わりの時期がわかりにくいことから、更年期だと自覚するのは難しいと言われています。

■更年期の症状
更年期の実情を知るために、40~50代の女性を対象にアンケートを取ってみました。
ここからはその結果をもとに、実際の声をお伝えしていきます。

まずは、更年期に伴う症状に関して伺ってみました。
1つとして扱われます。そのため「冷え症」は治療の対象になります。

40 ~50代の女性で更年期に伴う症状がある方、更年期障害と診断された(されている)方が約4割いることがわかってきました。

では、具体的にどのような症状を訴える方が多いのか、更年期の症状があると回答した方を対象にさらに掘り下げてみましょう。

この質問の結果では、上位から「疲れやすい、だるい」「イライラする」「肩こり」と続き、中でも「疲れやすい、だるい」と感じている方は、約6割もいることがわかりました。
また、同時に複数の症状を感じている方も多く、さまざまな症状に悩んでいるのが実情のようです。

2. 更年期の症状とセルフケア

■症状への対処法の実情
次に、更年期のつらい症状にどのように対処しているかについて調べました。

これによると、リラックスする時間を設ける、安静にしている、生活習慣を見直すなど、普段の生活でできる対策が多い傾向にありました。
一方で、病院で治療を受けている方は10%程度しかおらず、さらに症状を感じている方の3人に1人(29.5%)は我慢して過ごしていることもこの結果から読み取ることができます。

更年期は誰にでも訪れるライフステージの一つなので、ある程度の症状であれば自分でどうにかできると思っている方も多いのではないでしょうか。
また、更年期に抵抗を感じている方が少なからずいることも、治療を受けないことと関係しているのかもしれません。

しかし更年期の症状といえども、日常生活にまで支障をきたすような場合は「病気」として診断されます。
くれぐれも自己判断せず、つらい時には医師や薬剤師、登録販売者へ相談しましょう。

■症状別セルフケアの紹介
更年期の症状によっては、自分でケアすることである程度は和らげられる可能性があります。ここでは、代表的な諸症状に対する改善方法をご紹介します。

・倦怠感
特に有酸素運動は効果が期待できるので、軽いストレッチやウォーキングなど、無理ない範囲で取り入れてみてください。
また、ゆっくりお風呂に浸かるなどして気分をリフレッシュさせるのもいいでしょう。
温浴効果を高めて、疲れを緩和してくれる効果のある入浴剤も沢山ありますので、おすすめです。

・イライラ
軽い運動や趣味に没頭するなどの気分転換がおすすめです。
また、イライラしている時は呼吸が浅くなりがちです。そういった状況では自律神経も緊張し、不調を感じやすくなります。イライラしているなと感じたら、まずは、深呼吸を意識してみましょう。
ポイントは、吐く時間を吸う時間の2倍にすること。4秒かけて吸って、8秒かけて吐くイメージで深呼吸をしてみましょう。

・気分が不安定、落ち込み
悩みなどがある場合は一人で抱え込まず、家族や親しい友人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちは楽になるものです。また気分を切り替えるために散歩したり、マッサージしたりするなど、リラックスするように心がけましょう。
ヨガやストレッチなどのゆったりとした運動やゆっくりとした入浴は、リラックスしながら身体を温めることができるので、おすすめです。

・眠りが浅い、不眠
規則正しい生活や、睡眠環境を整えるなど、生活習慣を見直してみましょう。過剰なカフェインの摂取や飲酒・喫煙なども良質の睡眠を妨げる原因になります。
また、寝る前に身体を温めることも良質な睡眠をとるためには大切です。40℃ぐらいのぬるめのお湯にゆっくりつかり、手足を温めるよう心がけましょう。
身体は、熱を外に逃がし、深部や脳の温度を下げることで、眠りに入ります。身体を温めてから布団に入ると、血流が良くなった手足から熱が逃げていき、体温が下がりやすくなるため、寝つきやすくなります。
入浴は、寝る前2~3時間前に済ませるよう心がけましょう。

・のぼせ、ほてり
熱っぽさを下げるために、のぼせやほてりを感じたら、一時的に涼しい部屋で過ごす、通気性の良い服などを着るなどの対策をしてください。
首の後ろに冷やしたタオルを当てるなどの方法も役立つでしょう。
ただし、必要以上に身体を冷やさないよう、注意が必要です。上半身はのぼせを感じますが、おなかや下半身は冷えている方も多いため、おなかや足元などを温め、冷えを改善するよう心がけることが大切です。
また、のぼせやほてりの原因は主に自律神経の乱れによるものなので、深呼吸などで呼吸を整え、気持ちを落ち着かせることも有効な方法のひとつです。

3. 漢方から考える更年期の症状と食養生
漢方における健康な身体とは、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素のバランスが取れている状態です。しかし、何らかの理由によりこれらの要素の1つにでも不足や滞りが起こると、それに関連した不調が現れると考えます。

特にどのような症状が気になるか、どこのバランスが崩れているかチェックしてみましょう。

「お血」・・・「血」の流れが滞る

  • □ 生理痛がひどかった
  • □ シミ・そばかすが気になる
  • □ 肩こりがつらい

「血虚」・・・「血」が不足する

  • □ 貧血ぎみ
  • □ 肌が乾燥している
  • □ 髪の毛が抜ける

「水毒」・・・「水」の流れが滞るまたは偏在する

  • □ めまい、立ちくらみがある
  • □ むくみやすい
  • □ 天気や気圧の変化で体調が悪化する

「気滞」・・・「気」のめぐりが滞る

  • □ 気分が落ち込む
  • □ のどや胸がつかえる
  • □ お腹が張る

「気逆」・・・「気」が逆流する

  • □ 冷えのぼせがある
  • □ イライラする
  • □ 発作的な頭痛がある

「気虚」・・・「気」が不足する

  • □ 疲れやすい、身体がだるい
  • □ 食欲がない
  • □ かぜをひきやすい

・お血おすすめの食養生
ショウガやニンニク、山椒など身体を温める香辛料を料理にとり入れること。
ルイボスティー、紅茶などを温めて飲むのもおすすめです。

・血虚におすすめの食養生
レバーや赤身肉、ウナギのほか、なつめ、いちじくなどのドライフルーツ、ナッツ類、黒ゴマや黒豆、ひじきなど黒い食べ物は、「血」を増やし、めぐりを良くしてくれます。

・水毒におすすめの食養生
水分代謝を促す、ワカメ、昆布などの海藻類や豆類を多くとるように心がけましょう。
胃腸の不調が気になる人は、大根やカブ、山芋、味噌や納豆などの発酵食品がおすすめです。

・気滞・気逆におすすめの食養生
春菊など香りのある香味野菜、柑橘類、酢などが、「気」をめぐらせ、気持ちを落ち着かせてくれます。
ハーブを料理に用いたり、お茶にして香りを楽しんだりするとよいでしょう。

・気虚におすすめの食養生
「気」を補う食材である、シイタケ、しめじなどのキノコ類をお味噌汁の具にすると、身体も温まるのでおすすめです。
また食欲がなくても、できるだけ朝食をとる習慣をつけるようにしましょう。

更年期の症状は同じ状態がずっと続くわけではなく、その時々でさまざまに変化します。
そのため身体全体の調子を整え、諸症状の改善が期待できる漢方薬も、対処法の1つとして検討してみましょう。

更年期の症状におすすめの漢方薬はこちら

【監修医師プロフィール】

藤東クリニック
院長 藤東 淳也
https://fujito.clinic/

■経歴
1993年4月 東京医科大学病院 産科婦人科学教室 研修医
1994年5月 中野総合病院 産婦人科 医員
1995年6月 戸田中央産院 産婦人科 医員
1995年11月 東京医科大学 産科婦人科学教室 研究員
1997年4月 東京医科大学産科婦人科学教室 助手
1999年3月 東京医科大学麻酔科学教室
1999年7月 東京医科大学八王子医療センタ- 産科婦人科医長
2002年4月 東京医科大学産科婦人科学教室 助手
2002年5月 米国カンザス大学医学部 細胞生物学教室へ留学
2004年4月 東京医科大学産科婦人科学教室 講師
2004年11月 東京医科大学病院産科婦人科学教室 医局長
2008年6月 県立広島病院 婦人科部長
2010年6月 産科・婦人科 藤東クリニック 院長
2015年11月 医療法人双藤会 理事長

■専門・資格
日本産科婦人科学会専門医
医学博士
細胞診専門医
バイオインフォマティクス認定技術者
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
婦人科腫瘍専門医
母体保護法指定医
新生児蘇生講習会専門コース修了


調査概要

調査手法:インターネットリサーチ(QiQUMOを利用)
実施時期:2024年1月29日-30日
調査対象:スクリーニング調査/40代~50代の女性 本調査/更年期の症状がある方
有効回答数:スクリーニング調査6, 000名 本調査400名
調査実施機関:株式会社クロス・マーケティング
調査主体:株式会社ツムラ

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